遺言執行者という制度をご存じでしょうか。
相続が遺言書どおりに実行されるように必要な手続きを行うのが遺言執行者(遺言執行人)です。
かつては「相続人の代理人」と呼ばれていましたが、2019年7月の法改正で遺言執行者となり、遺言を実現するために強力な権限を行使できます。
遺言執行者に選定(選任)されると、相続人や相続財産の調査・相続登記などを業務として行うことができます。遺言内容を実現する中心人物になるため、「この手続きは誰がやるの?」と相続人同士で迷ってしまうこともなくなるでしょう。
遺言執行者は、相続人の確定、財産目録の作成、預貯金口座解約、不動産の相続登記、自動車や株式の名義変更などを実行します。
当相談所の相続まるごとパックの業務とほぼ同じです。
さて、遺言執行者は誰が決めるのでしょうか?
遺言に定めることにより、遺言者が決めることができます。
実際に遺言内容を実行する場合、複雑な相続登記や手間暇のかかる相続人調査があるなど、なかなか相続手続きが進まないケースがあります。
遺言執行者を選定した場合、相続人の代表となって行動してくれるので、期限に間に合うよう相続手続きが実行されます。戸籍謄本などの収集も効率的になるので、相続人が現役世代で手続きに割く時間を確保できない場合は大きなメリットになるでしょう。
また、他の相続人が独断で遺産を処分することもできにくくなるので、分割前の相続財産も保全できます。
一方で、相続手続きを中心となって進める以上、遺言執行者には十分な知識と経験が求められます。相続の知識に乏しい人を選定した場合、本人の負担になるばかりか相続手続きも進みません。不手際があれば責任を追及され、最悪の場合、悪意を持った相続人の言いなりになる可能性もあります。遺言執行者は人選にも配慮すべきです。
専門家に遺言作成の支援を受ける場合は、当該専門家に遺言執行者をお願いすることをお勧めします。支援業務を通じて、当該専門家は遺産の内容を把握していますから、手続きがスムーズに進むでしょう。遺言者との会話を通して、文言に無い部分のお考えを相続人にお伝えできることも期待できます。
当相談所では、遺言作成をご支援する場合は遺言執行者を定めるかどうかをお尋ねします。
また、遺言執行者業務のお引受けもいたしております。